(2)2日間のプログラムは、次のように適切に配置された。クリニシャンは、守屋純子(p)以下、小山太郎(ds)、嶌田憲二(b)、小沼ようすけ(g)、エリックミヤシロ(tp)、片岡雄三(tb)、宮崎隆睦(sax)7名のプロで、リーダー守屋の選定により、各楽器の教授・指導に卓越した人が揃った。恐らく全国に数あるクリニックで、これほどベストのクリニシャンが揃う例は他にないと思われる。
●ビッグバンドクリニック
石川ジュニアと京都府立工業高校をモデルに全クリニシャンが参加。
●楽器別クリニック
7人のプロが個別に各楽器についてのクリニックを実施したが、各人が個性的な教授法で単なる技術面に止まらず、精神的な楽器との向かい方を含めて熱情的に講義をしたので、受講者に感動を与えた。
●7人のクリニシャンによるジャムセッション
始め管とリズムの2つにわかれたクリニックが予定されたが、クリニシャンたちの自発的意志によって、即席のジャムセッションを実施した。全く予定されていなかった企画で他では聞けない模範演奏となり、全学生に感銘を与えた。
●参加者全員の夕食交流会
全学生とクリニシャンとの交流夕食会は、学生がそれぞれ憧れのプロの人達と交流する絶好の機会となった。石川ジュニアのメンバーたちがホスト役となって、代表2人が会の進行のスピーチやゲーム遊びなどをテキパキと担当し、極めてなごやかな情の溢れるパーティとなった。石川ジュニアのメンバーたちが今回のキャンプインの意義をよく自覚して、積極的にゲストの学生たちを眞情を以てもてなした態度がジャズフェスの全会期を通じて一貫していたことを賞しておきたい。
●参加5校による演奏と指導者のコメント
1、福島県立福島高等学校(コンボ演奏)
Fly Me To The Moon p,b,g,ds,tb 5人コンボ
Sonnymoon For Two p,b,g,ds,tp,tb 6人コンボ
本校は高等学校には珍しくジャズ研究部としてコンボ演奏を主眼としており、gを含む4人のリズム・セクションに各種の管をフロントに入れて、即興演奏を目指している。ジャズフェスでは、他に「国境の南」(4リズム)、Oleo(4リズム+as)、Nica's Dream(tp,ts,+4リズム)など、ハードバップ調で演奏した。聞けば、全くプロの指導を受けていないというので、今後東京のプロのコンボが東北支援に赴く際に指導を受けられるようにしたい。差し当たり小林陽一クインテットが9月東北3県を支援ツアーする予定なので、是非引き合わせたいと考えている。
2、宮城県名取市立閖上中学校吹奏楽部
前述したように、OBを加えての14名編成の小型ブラスバンドであるが、中学生にも拘らず、楽器の演奏能力は相当高く、アンサンブルもソロもきれいにまとまっている。このような編成のウィンド・オーケストラに通じたプロの指導者が望ましいと思う。
3、岩手県立高田高等学校
前述の如く、50名余の本格的ブラスバンドで、「アフリカン・シンフォニー」「ディスコ・キッド」「テキーラ」「プラウド・メアリー」などをレパートリーにして、メンバーの楽器演奏にショウアップするステージングも見事で、アンサンブルもソロも相当な技術水準を示した。指揮の先生の指導に頼っているようだが、ジャズ的見地からいうと、校成ウィンドオーケストラによるジャズアレンジ曲(カウント・ベイシーやデューク・エリントンの曲もある)などにトライすることを望みたい。
4、京都府立工業高等学校Mambou Jazz Band
相当技術水準の高い高校バンドで、よくスウィングし、ソロもうまい。プロの田中充(tp)が指導し、作編曲しているようだ。
5、石川ジュニア・ジャズアカデミー・オーケストラ
今回各所で演奏した曲は、Night Flight、Watermelon Man、Skylark などであったが、昨年に比べて格段に上達を示し、各セクションがムラなく充実し、ソリストが育ってきた。特にリズムが強力にスウィングするようになったのでさらなる進歩が期待される。
6、全学生バンドによる「3000人のSWING〜上を向いて歩こう〜」の発表について
今回の学生Jazzキャンプの企画として、全学生合同演奏による「上を向いて歩こう」をフェスティバルで発表することになり、守屋純子の新アレンジにより、キャンプの最後に練習して、7月30、31日のフェスティバルで演奏した。「上を向いて歩こう」は、震災以来復興を目指すテーマの音楽として、すでに各所で演奏され歌われてきたが、今回の守屋アレンジは、この曲の本格的ジャズヴァージョンとしては、恐らく初の試みであると思う。百人の学生バンドメンバーが短時間のリハーサルで、守屋の指揮の下に、よく練習し、ソロパートはプロが適宜受け持ってフェスティバルの2日間、ゴージャスなサウンドを奏することが出来た。今回のキャンプの大きな成果であった。