Monterey Jazz Festival in NOTO 2012
開催まで
 
 
「第23回モントレージャズフェスティバルイン能登2011」リポート
1、全体の構成について
 東北震災3県の学生バンド支援を主目的とする学生バンドクリニック2日間を前期、恒例の野外ジャズフェス2日間を後期とする総体4日間に亘る今回の行事は、MJFin能登にとって画期的な新企画であった。
(1)ジャズ教育を重要な柱とするMJFにとって、震災支援を実行する具体策として、東北3県の学生バンドを招待して、クリニックに参加させたことは、極めて適切な措置であった。
(2)全学生バンドが後期のジャズフェスにも参加し、全学生バンド合同演奏(「上を向いて歩こう」)を実施できたことは、非常に大きな成果であったが、4日間の行事を担当した主催者側の事務的及び精神的負担は、非常に重いものであったと察せられるので、今後の行事企画に察しては、事務分担についてより適切な事前の検討を加えられんことを望む。
2、東北3県学生バンド支援のクリニック2日間の成果について
 最近の各地ジャズフェスの多くが、災害地の支援を掲げている中で、今回の行事は最も実効性のある有意義な内容であったと思う。
(1)東北3県のバンドは、それぞれ性格の異なるバンドであったので、バラエティに飛んだ演奏をきかせた。
@福島県立福島高等学校は、高校ジャズ研の学生20人が参加し、4組のコンボに別れて演奏した。
A岩手県立高田高等学校は、大編成の吹奏楽団で、先生の指揮により、ラテン系のリズム曲などを演奏。
B宮城県名取市立閖上中学校は、直接被害を受けたため、部員10名にOB4名を加えた小編成の吹奏楽編成で、木管ブラス共音程もよくソロもこなした。
(2)2日間のプログラムは、次のように適切に配置された。クリニシャンは、守屋純子(p)以下、小山太郎(ds)、嶌田憲二(b)、小沼ようすけ(g)、エリックミヤシロ(tp)、片岡雄三(tb)、宮崎隆睦(sax)7名のプロで、リーダー守屋の選定により、各楽器の教授・指導に卓越した人が揃った。恐らく全国に数あるクリニックで、これほどベストのクリニシャンが揃う例は他にないと思われる。
7月28日(木)
●ビッグバンドクリニック
 石川ジュニアと京都府立工業高校をモデルに全クリニシャンが参加。
●楽器別クリニック
 7人のプロが個別に各楽器についてのクリニックを実施したが、各人が個性的な教授法で単なる技術面に止まらず、精神的な楽器との向かい方を含めて熱情的に講義をしたので、受講者に感動を与えた。
●7人のクリニシャンによるジャムセッション
 始め管とリズムの2つにわかれたクリニックが予定されたが、クリニシャンたちの自発的意志によって、即席のジャムセッションを実施した。全く予定されていなかった企画で他では聞けない模範演奏となり、全学生に感銘を与えた。
●参加者全員の夕食交流会
 全学生とクリニシャンとの交流夕食会は、学生がそれぞれ憧れのプロの人達と交流する絶好の機会となった。石川ジュニアのメンバーたちがホスト役となって、代表2人が会の進行のスピーチやゲーム遊びなどをテキパキと担当し、極めてなごやかな情の溢れるパーティとなった。石川ジュニアのメンバーたちが今回のキャンプインの意義をよく自覚して、積極的にゲストの学生たちを眞情を以てもてなした態度がジャズフェスの全会期を通じて一貫していたことを賞しておきたい。
7月29日(金)
●参加5校による演奏と指導者のコメント
1、福島県立福島高等学校(コンボ演奏)
 Fly Me To The Moon p,b,g,ds,tb 5人コンボ
 Sonnymoon For Two p,b,g,ds,tp,tb 6人コンボ
 本校は高等学校には珍しくジャズ研究部としてコンボ演奏を主眼としており、gを含む4人のリズム・セクションに各種の管をフロントに入れて、即興演奏を目指している。ジャズフェスでは、他に「国境の南」(4リズム)、Oleo(4リズム+as)、Nica's Dream(tp,ts,+4リズム)など、ハードバップ調で演奏した。聞けば、全くプロの指導を受けていないというので、今後東京のプロのコンボが東北支援に赴く際に指導を受けられるようにしたい。差し当たり小林陽一クインテットが9月東北3県を支援ツアーする予定なので、是非引き合わせたいと考えている。
2、宮城県名取市立閖上中学校吹奏楽部
 前述したように、OBを加えての14名編成の小型ブラスバンドであるが、中学生にも拘らず、楽器の演奏能力は相当高く、アンサンブルもソロもきれいにまとまっている。このような編成のウィンド・オーケストラに通じたプロの指導者が望ましいと思う。
3、岩手県立高田高等学校
 前述の如く、50名余の本格的ブラスバンドで、「アフリカン・シンフォニー」「ディスコ・キッド」「テキーラ」「プラウド・メアリー」などをレパートリーにして、メンバーの楽器演奏にショウアップするステージングも見事で、アンサンブルもソロも相当な技術水準を示した。指揮の先生の指導に頼っているようだが、ジャズ的見地からいうと、校成ウィンドオーケストラによるジャズアレンジ曲(カウント・ベイシーやデューク・エリントンの曲もある)などにトライすることを望みたい。
4、京都府立工業高等学校Mambou Jazz Band
 相当技術水準の高い高校バンドで、よくスウィングし、ソロもうまい。プロの田中充(tp)が指導し、作編曲しているようだ。
5、石川ジュニア・ジャズアカデミー・オーケストラ
 今回各所で演奏した曲は、Night Flight、Watermelon Man、Skylark などであったが、昨年に比べて格段に上達を示し、各セクションがムラなく充実し、ソリストが育ってきた。特にリズムが強力にスウィングするようになったのでさらなる進歩が期待される。
6、全学生バンドによる「3000人のSWING〜上を向いて歩こう〜」の発表について
 今回の学生Jazzキャンプの企画として、全学生合同演奏による「上を向いて歩こう」をフェスティバルで発表することになり、守屋純子の新アレンジにより、キャンプの最後に練習して、7月30、31日のフェスティバルで演奏した。「上を向いて歩こう」は、震災以来復興を目指すテーマの音楽として、すでに各所で演奏され歌われてきたが、今回の守屋アレンジは、この曲の本格的ジャズヴァージョンとしては、恐らく初の試みであると思う。百人の学生バンドメンバーが短時間のリハーサルで、守屋の指揮の下に、よく練習し、ソロパートはプロが適宜受け持ってフェスティバルの2日間、ゴージャスなサウンドを奏することが出来た。今回のキャンプの大きな成果であった。
(3)東北3県バンドとの今後の交流について
 このように、3県のバンドを招待して、クリニックを実施し、フェスティバル本番に演奏を依頼したことは、今回の大きな成果であった。切角生まれた彼らとの交流を今後いかして、継続しフォローアップすることが望ましいと思います。今回のように彼等を招待して凡ゆる便宜を計ることは、予算上困難であると思うが、来年のフェスティバルにも何らかの形で震災復興支援の一環として、3県の一校位でも招待することが出来れば、意義ある企画になり得ると思う。
3、ジャズフェスティバル2日間の成果について
(1)プログラムについて
 7月30日(土)と31日(日)の2日間連続フェスティバルは初の企画で、第23回にして規模が一躍二倍に拡大したことは、慶賀すべき快挙であったと思う。両日共14時開演で先ず学生バンドの演奏が約2時間あり、16時より学生バンド総出演の"3000人のスイング"(「上を向いて歩こう」)を守屋純子指揮、プロがゲスト・ソリストで参加して演奏し、大いに盛り上げたところで、16時半よりプロによる本番演奏に入った。出演グループは両日共5グループ宛計10グループ。内訳は分類すると次のようになる。
●歌手リーダーのグループ 3組
 堀夏奈子、MAYA、TOKU
●ピアノ乃至オルガン主導のグループ 2組
 村井秀清カルテット、アクアピット(トリオ)
●著名ソリストのリーダー・グループ 2組
 寺井尚子(vl)カルテット、寺久保エレナ(a-sax)・カルテット
●ラテン系グループ 2組
 オルケスタ・デ・ラ・ルス(NORAのボーカル・フィーチャー)、遠藤律子&Funky Ritsuco Version
●ビッグバンド
 岡本章生ビッグバンド(2日目のフィナーレ)
 サウンドのジャンル的にもヴァラエティに飛んで適切に配分されており、新旧世代のファン双方に楽しめる組み合わせであったと思う。
(2)進行について
 2日間共残念ながら雨が断続的に降り注いだが、聴衆が濡れながらも退去することなくバンド演奏に呼応して両日共最後まで参加してくれたことに感謝したい。特にオルケスタ・デ・ラ・ルスと遠藤律子FRVのラテン系グループが共に観客をのせる術に長けていたことが幸いであった。2日目ラストのアンコール・セッションを「聖者の行進」で、プロのソロ参加で盛り上げ、雨中にも拘らず観客のアンコールの呼び声が止らなかったことは感動的であった。雨中舞台転換を迅速に進行させた舞台監督スタッフと音響係の努力に感謝したい。
(3)来年度以降のプログラムについて
 本年度は震災の影響もあり、米国のハイスクール・バンドとプロ・グループは来日参加しなかったが、その代わり2日間の学生クリニックと「3000人のスウィング」、フェスティバル日本グループの熱演により新鮮な盛り上がりがあったと思う。来年度以降、米国ハイスクールバンドが参加できるとすれば、学生バンドクリニックも多少違った形で企画を考える必要がある。その場合も、切角本年度実現した守屋純子中心のプロのクリニシャンは、何れも米国留学の経験もあり、米国側のディレクターや学生メンバーと共同でクリニックを実施することが可能と思うので、是非引き続き参加して貰うことが望ましい。
 米国のプロ・グループのフェスティバル出演については、今年8月にも来日しているManhattan Jazz Quintet(MJQ)を招くことが出来ればベストと思う。例えばエリック・ミヤシロEMバンドとMJQの合同演奏をラストに実現できれば、ジャズ界にとっても画期的なイベントになる。MJQのリーダー・ピアニストのDavid Mattewsは卓越した教育者でもあるので、彼のレクチャーも実現したい。現在からマネジメント担当の川島重行氏と交渉されんことa
ジャズ評論家 瀬川昌久

モントレージャズフェスティバル イン 能登 実行委員会
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